日本循環器学会関東甲信越支部主催
第6回心肺蘇生法市民公開講座開催報告
この度、2023年12月10日(日)に、新型コロナ感染の影響により4年ぶりに第6回心肺蘇生法市民公開講座を開催いたしました(日本循環器学会関東甲信越支部主催、会長: 日本医科大学大学院医学研究科循環器内科学分野教授 清水 渉)。今回は、東京都と日本循環器協会に共催していただき、東京都庁 第一本庁舎5階 大会議場にお借りして開催いたしました。テーマは「あなたの勇気と行動がみんなの命を守る - 心肺蘇生法からAEDの使い方まで」で、2つの特別講演と心肺蘇生法の実技実習を企画いたしました。
わが国で、年間に救急搬送される心肺停止患者数は 約13万人で、そのうち約1/3の8万人が心原性心肺停止患者です。さらに一般市民による目撃あり患者は、その約1/3の2万 6,500人になります。一般市民による目撃あり患者に対して、周囲にいる一般市民(バイスタンダー)により心肺蘇生が実施されAEDが適切に使用されれば、多くの患者が救命されます。ところが、関東甲信越支部の中でも東京都のバイスタンダー心肺蘇生率は、全国の中で最下位から2番目であることを知り、一般市民に心肺蘇生法およびAEDの使い方を知ってもらい心臓突然死を減らすことや、心臓突然死を起こさないように心臓病の予防に日頃から取り組んでいただくことが重要と考え、このテーマを選びました。
特別講演のお一人目には、現在、東京都救急医療対策協議会 会長/日本体育大学 保健医療学部 救急医療学科 教授で、日本医科大学時代には、教授としてともに仕事をさせていただいた横田裕行先生に、「一般市民による応急手当・心肺蘇生の重要性」をお話しいただき、ご参加いただいたみなさんの勇気ある行動が突然に倒れた人の命を守ることを理解していただけたかと思います。お二人目の特別講演は、とげぬき地蔵尊高岩寺住職・医師/東北福祉大学 客員教授の来馬明規先生にお願いし、「歌って踊って救急救命」の講演タイトルで、すこやかに生きるコツとしての禁煙やAEDの重要性を、ビデオや踊りを交えて大変楽しくお伝えいただきました。
特別講演に引き続いて、胸部圧迫法とAEDを使用した心肺蘇生法の実技実習を、獨協医科大学の菊地 研先生のリードと経験豊富な23名のインストラクターの方々の指導により行いました。3~4名のグループごとにインストラクター1名がつき、各グループに胸骨圧迫用の胸部模型とAEDをそれぞれ1台ずつ配備し、実技実習をしていただきました。いずれの参加者の方々も、真剣にそして楽しそうに取り組まれているのが印象的でした。実技実習の最後には、一部の参加者にご登壇いただき、胸骨圧迫の質を競う「CPRレース」を行いました。
最終的な参加者数は76名(事前登録120名)であり、盛会のうちに公開講座を修了することができました。
最後に、今回の市民公開講座の開催に当たり、ご協力いただいた横田先生、来馬先生、菊池先生、インストラクターの皆様、共催およびご協力いただいた東京都庁の職員の皆様、協賛企業、事務局の皆様、そして何よりもご参加いただいた皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
この市民公開講座が、心臓突然死を少しでも減らすことの一助となることを祈念して、会の報告とさせていただきます。
2024年1月吉日
日本循環器学会関東甲信越支部主催
東京都/日本循環器協会共催
第6回心肺蘇生法市民公開講座
日本医科大学大学院医学研究科 循環器内科学分野
清水 渉