日本循環器学会関東甲信越支部主催
第5回心肺蘇生法市民公開講座開催報告
このたび、2019年12月15日(日)に第5回心肺蘇生法市民公開講座「早く病院に行こう!」を獨協医科大学30周年記念館で開催いたしました。胸を押すだけの心肺蘇生法とAED(自動体外式除細動器)を組み合わせた実技練習に加えて、講演3題と特別講演1題のほか、新たな試みとして「血管年齢」などの動脈硬化検査を無料で行いました。これまでも当医局主催の市民公開講座を開催してまいりましたが、引き続き20代からご高齢の方々まで幅広く参加され、合計140名にご参加いただきました。
講演では、それぞれ下記の当院での新進気鋭の医師にお願いしました。春山亜希子先生はとても平易な言葉で心不全を説明してくださいました。金谷智明先生は最新のカテーテル治療をアニメーション動画で示してわかりやすく解説してくださいました。佐久間理吏先生は再生医療を身近な話に感じさせるように説明してくださいました。参加者からはそれぞれ家族の病気のことから実際の治療のことなど積極的な質問があり、それらにわかりやすく答えてくださいました。
講演1 | 「心不全を識る」-あなたのその症状、大丈夫ですか?- 春山亜希子 |
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講演2 | 「弁膜症を小さな傷跡のみで治せる最新手術」 金谷智明 |
講演3 | 「脂肪が下肢動脈を再生してくれる最新治療」 井上晃男 |
特別講演では、脳内報酬系から腸内細菌に至るまで多岐に渡り、生活習慣を通じて心臓に良い生活を説明してくださいました。
特別講演 | 「あなたの心臓に効く生き方教えます」 阿部七郎 |
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その後、心臓発作による突然死への対処策として、胸骨圧迫とAEDを組み合わせた心肺蘇生法の実技実習を菊地研先生の主導で行われました。経験豊富なインストラクターの方々が参加者5-6名のグループ毎に1名が担当し、参加者それぞれが胸骨圧迫用の胸部模型を用いて胸骨圧迫を実際に行い、AED練習機を用いて電気ショックを行うまでの1連の流れを実技練習しました。最後は、希望者同士で胸骨圧迫の質を競う「CPRレース」を行い、盛り上がりました。
実技練習 | 「電話して胸を押してAEDを使おう --- コール&プッシュ」 菊地 研 |
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また、並行して行われていた「血管年齢」などの動脈硬化検査では、検査を受けられた方は検査結果に一喜一憂されていました。同時に開設していた病気相談窓口では、がん治療に関連した心疾患をスクリーニングすることができました。
参加者全員には非常に良い環境で体験していただくことができ、満足されて帰宅されたと思います。
今回、院内でのポスター掲示やチラシ配布のほか、賛同者の方が口コミでお知り合いの方にお勧めいただいたのをきっかけに参加したという方が多数おられました。また、慶応大学循環器内科教授福田恵一先生のお力で朝日新聞に朝刊夕刊を含めて3回広告を掲載していただくことで、他県からの参加者を大勢募ることができました。この紙面をお借りして改めてお礼申し上げます。
無事に会を終えられたのもひとえに関係各位の皆様のおかげと思います。この場をお借りして深謝申し上げます。何より、息をきらして真剣に胸部圧迫を体験いただいた参加された皆様の真摯な姿に敬意を評します。本市民講座が心臓突然死の減少及びその予防につながることを祈念し、会のご報告とさせていただきます。
2020年2月吉日
日本循環器学会関東甲信越支部主催 第5回心肺蘇生法市民公開講座
会長 井上晃男(獨協医科大学 心臓・血管内科/循環器内科)