第270回 日本循環器学会関東甲信越地方 プログラム
第270回 日本循環器学会関東甲信越地方会の報告
2023年12月16日土曜日に、ステーションコンファレンス東京にて第270回日本循環器学会関東甲信越地方会を開催いたしました。長いコロナ禍から社会が元にもどりつつあるのを反映して、1,000名を超える多くの参加者にご参集いただきました。Web参加の手軽さを知ってしまった後でも、やはり会場に集まって様々なディスカッションをするのは有意義なものだと感じます。今回、セッションの内訳は一般演題セッション17、会長企画セッション2、教育セッション4、委員会企画セッション2,Awardセッション4、生物統計セミナー、医療倫理・医療安全、スポンサードセミナー11になり、6会場を全て使用した構成になりました。
今回、3つのテーマを中心に、地方会を企画しました。第1は、「医工連携による循環器内科診療・研究の発展」です。機械学習・深層学習などAIの発展と、ウェアラブル機器など新たなデバイスの開発は循環器学を大きく変えています。会長企画セッションIでは医工連携についてのオーバービューから新しい取り組みまで、多彩な内容を講演頂きました。また、教育セッションでは、地方会ならではの距離の近さと手軽さを利用して、AIハンズオンセッションを2つ企画し、数値データ解析と画像解析をそれぞれエキスパートの先生に指導して頂きました。PCを持参して参加していただく形の教育セッションでしたが、少しでもAIの手軽な導入に役立ててもらえれば幸いです。第2のテーマは「心不全治療の発展」です。会長企画セッションIIでは、薬物療法・VAD適応の広がり・機械的補助デバイスの発展から心臓移植まで、めざましい進歩を遂げている重症心不全治療について最先端の話をして頂き、また学術委員会企画セッションでもImpellaを中心に補助循環デバイスについて討議して頂きました。第3のテーマとして「基礎研究」を挙げました。循環器医が基礎研究をおこなうことは、循環器学の領域にとっても、循環器医個人の成長にとっても、非常に重要なことではありますが、近年は基礎研究が下火になっています。基礎研究の楽しさと意義について 基礎研究セミナーで講演をして頂き、さらに臨床研究・基礎研究の成果の結実の形として高安動脈炎を例にとった教育セッションで講演して頂きました。
企画セッションも楽しんで頂けたのではないかと思っておりますが、やはり地方会を支えるのは、学生・研修医・ケースレポート・臨床研究、の各ジャンルのAwardセッションと、一般演題セッションです。Awardセッションは、いずれも力の入った演題が発表され、全員に優秀賞を贈呈したいところでした。また一般演題セッションでは症例報告と臨床研究を中心に多くの演題を応募いただきました。症例を丁寧に観察し考察していくことは、臨床研究の基本であり、地方会はそのような発表の場と議論の場を提供するためにあります。多くの先生方のおかげで熱の入ったディスカッションができ、大変喜ばしいことと思っております。
今回の地方会が無事に終えられたのは、企画立案を担当した先生、セッションで貴重な講演をしてくださった先生、演題応募し発表してくださった先生と、当日会場にいらして頂いた多くの先生方のおかげです。また、スポンサードセミナーでご協力いただいた企業の方々にも厚くお礼申し上げます。事務局の方々にも多くの準備をして頂きました。全ての方々に御礼申し上げます。
東京医科歯科大学循環制御内科学
笹野 哲郎