大会長挨拶
犬と人をつなぐ、人と社会をつなぐ補助犬~人にも動物にもやさしく楽しい社会をめざして~
2002年5月22日、介助犬法制化の要望がきっかけとなり、盲導犬、聴導犬も加わっての運動が国会を動かして議員立法で成立した法律 身体障害者補助犬法が成立しました。それから20年、未だ補助犬法の認知度は低く補助犬同伴拒否も絶えない実態はありつつも、行政主導での啓発や厚労科研費による調査研究、総合研究事業や検討会の実施など、多くの成果も生んで来た20年であったと思います。2008年には障害者差別解消法も施行が始まり、東京オリンピック・パラリンピック2020の準備として多くの障害者の社会参加推進事業と心のバリアフリーを目指した啓発が推進されました。海外からの「補助犬」に限らない「サービスドッグ」受け入れについての検討会が設置され、安全な受け入れ体制についての検討がなされたことも大きな成果と考えます。
C O V I D−19のパンデミックは日本も世界も震撼させ、全ての予定が変更を余儀なくされました。東京オリンピック・パラリンピックも延期となり、無観客での開催となりました。結果的に厚生労働省主催の検討会等で準備を進めた海外からの「サービスドッグ」受け入れについても混乱なく安堵しました。が、補助犬訓練事業者にとっては、障害者への訓練提供も感染のリスク回避を最優先に考えなければならない、啓発や募金活動が出来ない大変な苦難の日々を過ごすこととなり、事業の在り方を大きく見直すきっかけとなりました。
そのような危機の中にあっても犬たちは将来の不安や苦悩を感じず、いつも変わらず「美味しいこと!」「楽しいこと!!」「散歩!お出かけ!!」と私たちを笑顔にしてくれます。人と人を繋ぎ、外へ、社会へ連れ出してくれます。社会が変わっても、補助犬と暮らすことでこれまでの日常がこれまでと同じように楽しく、やさしい気持ちで過ごせるのは犬にしか出来ない力なのではないかと思います。
感染症により人と人が、人と社会が分断されたことは私たちの心に大きく影響しました。このような危機的な時だからこそ、人と人、人と社会をつないでくれる補助犬の存在に着目し、より多くの人がつながり、より広い社会につながるような学会活動になることを願っての開催としたいと意気込んでおります。
特別協力をして下さっているセントレアは第5回2026アジアパラ愛知・名古屋大会の玄関となる空港です。本大会の内容が、2020のレガシーをさらに進化させ、より良いおもてなしの体制づくりに寄与することを願って。
補助犬がつなぐ人と人、人と社会が、より拡がり、人にも動物にもやさしく楽しい社会に寄与できることを願っています。
日本身体障害者補助犬学会 第14回学術大会
大会長 高柳友子
(医学博士・社会福祉法人 日本介助犬協会 専務理事)