大会趣旨

包括システムによる日本ロールシャッハ学会(JRSC)
第27回東京大会

大会準備委員長 野田昌道

第27回東京大会は、実に新しい!オンライン開催自体は今や目新しいものではなくなりましたが,今回はオンラインのメリットを最大限に生かすとともに,ロールシャッハ・テストの次なる100年の船出となる新鮮味のあるプログラムを準備しています。

大会テーマは「100年の歴史から多様性をつなぐ -今を問い未来を創る-」です。ロールシャッハ・テストは1921年にヘルマン・ロールシャッハによって世に出されて以来,ロールシャッハ・テストとはどのようなものなのかという問いから,どのように用いると効果的なのかといった疑問に至るまで,対象,方法,目的など,さまざまなことがらに関して研究が積み重ねられ,多くの知見が提出されてきました。さらには,文化人類学や芸術分野にも刺激を与え,適用の幅が広げられてきました。大会テーマにある多様性とは,このような様々な要求や可能性に対して常に開かれてきたことを意味します。

ロールシャッハ・テストの発展は決して順風満帆なものではなく,現在も多くの謎や未解決の課題が残されています。ロールシャッハ・テストは人間を理解するためのひとつの方法であるという認識のもと,多様性に対して開かれた姿勢を持ちながら,これらの課題に取り組んでいきたい。そのような思いをテーマに込めました。

今大会には,私たちの盟友であるCSIRA(Comprehensive System International Rorschach Association)とIRI(International Rorschach Institute)のメンバーにも登壇してもらい,包括システムの新たな展開について語ってもらいます。また,事例検討では,ISR(International Society of the Rorschach and Projective Methods)のロールシャッハ100年記念大会の事例検討で扱われる事例を取り上げ,さらなる学びを目指します。

今大会を,ロールシャッハ・テスト,そして包括システムのさらなる発展のひとつのきっかけにしていただきたいと思います。皆さん,ぜひ一緒に次の100年を目指しましょう。