ごあいさつ

第37回神奈川母性衛生学会を開催担当に指名された田島敏久です。
今回の学術集会は、北里大学医学部産婦人科教室の御尽力を得て開催の運びとなりました。第37回神奈川母性衛生学会を開催するに当たり、ご挨拶申し上げます。

 本邦では2020年1月15日に最初のCOVID―19感染者が確認されて以降、医学会および社会が閉鎖・隔離され「うつ状態」となっております。そして、1年前からは、ロシア・ウクライナ戦争の為、メンタルヘルス面ではさらに注意を要する状態となりました。また、時期を同じくして、社会の多様化を背景に少子化が急激に進行しており、昨年の出生数は過去最少で80万を切り危険水域へと達しました。

 そこで、今回の学術集会のテーマは、「多様化社会におけるメンタルヘルスと少子化問題」といたしました。これまでもコロナ禍と「産後うつ」増加の関連性が指摘されてはおりますが、私は「パラサイトシングル」と称される経済的に親離れが出来ていない独身者の問題や20~30代女性の未婚率の急上昇といった社会構造の変化も、大変由々しき問題であると考えております。
1999年フランスでは、未婚カップルに結婚と同等の権利を与えるパクスが法制化され家族の定義が拡がりました。その結果、現在フランスでは、同性・異性に関わらずパクスが定着し結婚とパクスが概ね半数ずつとなっています。一方、日本では、法律上婚姻関係にない夫婦から出生した子供は1%強であり、日本でも少子化対策としてパクス導入について議論を要する時期に来ているように思います。また、日本では、原則として男女のカップルでないと、精子提供や体外受精などの生殖医療が受けられない、といった点も再検討が必要なのかもしれません。

私は、本日の学術集会で「産後うつ」をはじめとしたメンタルヘルスや少子化に関する諸問題に関する活発な議論を行い、問題解決に向けて会員の皆様と一丸となって頑張りたいと考えております。多くの皆様のご参加をお待ちしております。

第37回 神奈川母性衛生学会学術集会
学術集会会長 田島 敏久
(慈誠会マタニティーホスピタル 院長)

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