第11回日本医療コンフリクト・マネジメント
学会学術大会 ご挨拶
対話のアート
−ポストコロナ時代の不易流行−

山梨大学医学部附属病院 医療の質・安全管理部 特任教授
荒神 裕之
第11回日本医療コンフリクト・マネジメント学会学術大会を2022(令和4)年1月23日(日)にオンラインで開催致します。当初、2日間の日程で山梨県甲府市での現地開催を模索致しましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第5波に見舞われ、オミクロン株の流行が懸念されるなど、現地開催が難しい見通しとなり、第10回大会に引き続きオンライン開催としました。現地開催のご期待に副えず心よりお詫び申し上げます。甲信越地方での開催は、第1回大会の新潟県(新潟市)、第3回大会の長野県(松本市)に続き3回目となり、甲信越地方はコンプリートとなりました。10年の節目を越えた最初の学術大会となることを大変光栄に存じます。
メインテーマは、「対話のアート−ポストコロナ時代の不易流行−」です。本学会は医療メディエーションを軸に医療コンフリクト・マネジメントを探究して参りましたが、学術領域の更なる発展のためには、中核である「医療対話」を掘り下げることが不可欠と考えました。「対話の時代」と称される現代、多様な方法論による対話の研究や実践が俎上に載せられ個々に深化する中、通底する大切なものに目が向きにくくなってはいないか、という素朴な疑問が今回のテーマ選定につながりました。
アート(Art)は、芸術と訳され、絵画、音楽、伝統芸能など、様々イメージが湧く言葉ですが、物事を成し遂げたり、創り上げたりする際のスキル(術)であったり、科学的な視点のみの学びに馴染まない感覚的な学び、例えば歴史や言語などの意味も含まれており、広くは人間性や直観といった意味も包含しています。本大会は、このような広い意味のアートを踏まえて、「対話のアート」に関して学び考える場を目指します。また、甚大な被害を含め未曾有の危機をもたらした新型コロナ禍は、私たちの日常生活に大きな変革をもたらし、これまでの価値観が揺らぐ事態をもたらしました。本大会では、ポストコロナ時代の不易流行(変わるもの、変わらないもの)の視点でも「対話のアート」を見つめていきたいと考えています。
現地開催であれば皆様にお越し頂いたであろう1月の甲府盆地は、朝晩には零下となる極寒の地ですが、周囲の山々に守られ降雪は非常に稀です。透明度が増した冬の空気に浮かぶ明峰富士や冠雪の八ヶ岳、北岳、甲斐駒ヶ岳など、日本の名だたる山を一望に収め、豊富に湧き出る温泉に身体の芯まで癒していただけます。新宿から甲府までは、狩人の「あずさ2号」でも有名な中央線特急「あずさ」「かいじ」で約1時間半です。コロナ禍はまだ予断を許しませんが、収束した暁には、是非とも山梨にお越しください。